2021年9月29日水曜日

かきくけこ

日本語のことを考えるときに、どうしても当たり前に思って見過ごすことが多いような気がします。 『音声を教える(国際交流基金日本語教授法シリーズ2)』国際交流基金, 磯村 一弘、ひつじ書房 (2009/2/18)

おそらく、外国から来た人に日本語を説明しようとしてる人がいて、その人のおかげで、図書館に置かれたと思います。

まず母音のアイウエオですが、 [a i ɯ e o]となっています。「ɯ」は、「u」ではなく、唇の丸めがない音を示しています。

アラビア語など、母音が3つの言語を母語とする学習者は、日本語の「イ」と「エ」、「ウ」と「オ」の区別が問題になることがあります。たとえば「にく」が「ねこ」のように聞こえてしまうことがあります。

想像を絶する話で、自分の固定観念の強いことを感じます。二重母音のことも書いてあります。[ai]は[a][i]ではっきりしないといけないということです。「タカイ」をゆっくり発音するときに、「ターカイ」ではなく、「ターカーイー」です。「アイ」→「エー」の変化も、日本語は二重母音を嫌っているからこそだと思います。

さて、カ行です。

[ka][kji][kɯ][ke][ko]

ここで「キ」の音が変ですが、これは

キャキュキョ
[kja][kjɯ][kjo]

に同じものが出てきます。[kj]は「k」が口蓋化した音で、何のことかというと、舌の盛り上がりが前の方に移動した時の音です。
「キャ→キ→キュ」と「キ」をはさんで連続して発音しても違和感を感じません。「キ」がほかの「キャ、キュ」音になじんでいます。ヤ行の「ヤ→イ→ユ」と発音するのも同じように思えて、ヤ行では「イ」音がなくなってしまったように思います。サ行で見ても同じで、イ列は口蓋化しているのがわかります。発音記号は省略しますが、「シ」は「シャ・シュ・ショ」の仲間です。ローマ字のイメージが強くて、子音+aiueoと思ってましたが、実際の「イ」列の音はは違うということがわかりました。

[ki]と[kji]を聞き分ける国の人が、その国の文字で日本語を書き留めれば、日本人の無意識の違いをチェックしてくるということです。上代特殊仮名遣いの問題もこのことを考えると、どうなんだろうと、改めて思います。

ついでに濁音ですが、二種類あるようです。

鼻濁音 からです。

まず、鼻濁音について一般的なことを書いてみます。「鼻濁音」とは、「が、ぎ、ぐ、げ、ご」のガ行の音を「んが、んぎ、んぐ、んげ、んご」というふうに、鼻の方へ抜いた発声法です。「か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚」というように、カ行に半濁音をつけた表記もされるようです。

鼻濁音の良さは、日本語を響かせて美しい音として伝えるものであり、舞台芸術や映画の俳優、NHKなどテレビ・ラジオ局のアナウンサーの発音教育でも鼻濁音の使用が徹底されてきたようですが、最近の「鼻濁音(ガ行鼻音)」についての調査結果では、現在の日本人で鼻濁音を使っている人は全体の約2割に過ぎず、また、若い人ほど使用率が下がっているようです。東北地方と北陸地方の鼻濁音の使用率は60~70%と高いのですが、この地域でも若い人は鼻濁音を使用しないようです。

先の本では、ガ行鼻濁音はガ行の「正しい発音」であるという考えは今でも残っていて、・・・とあります。2009年の本なので現在はどうかはわかりませんが、必要に応じて「゛」の代わりに「゜」を用いて、「かか゚み」「にんけ゚ん」などと表示するというのは驚きです。「゜」の字が出てこないので先のネットの文字をコピーさせてもらいました。変わって、「゛」だったらすみません。変換の出しにくさから考えて、ガ行鼻濁音をあらわそうとする意欲の人は現代では少数者に思います。

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