アイヌ語と中国語が似ているという話です。
・英語のweに相当するもの:
アイヌ語: 一人称複数が相手を含まない。相手を含む場合は不定人称複数形(四人称か?)で表される。 中国語:我们(話し相手を含まない)、咱们(話相手を含む)、中国語を話す人すべてが理解してるわけではないようで、面倒なので我们を使いがちらしい。
・英語のyouに相当するもの
二人称:二種類あって、おまえとあなた様のような違いらしい。アイヌ語・中国語どちらにもある。
・「テニヲハ」がない。
どちらも当てはまります。これは決定的です。中国語は漢字を使うようになって「テニヲハ」がなくなったと考えますが、アイヌ語は文字を持ってません。朝鮮半島は膠着語の世界で、「テニヲハ」の世界です。朝鮮半島経由では、「テニヲハ」の影響を受けます。中国から直接にアイヌ語が日本にやってきたと考えるのが自然です。
アイヌ語が、古い時代に文字があったのが失われた可能性もありますので、このことは忘れてはいけないと思いますが。
従って中国語では語順が大事になる。アイヌ語ではこれを解決するのに、人称接辞を使う。動詞が人称変化する。「私が見る」で一つの言葉になるということです。 Svの形にすれば、
kani ek.
私 来る
ですが、不自然ということです。 k-ek.
私が-来る
となります。k-は私がの意味ですが、単独では存在できないということです。来るという動詞に私がの意味の人称接辞が含まれてます。
hapo ek.
母 来た
三人称の場合はsvです。母は主語です。三人称には動詞にだれがという情報はありません。
huci ku-nukar.
おばあさん 私が-見た
文の後半で、私が見たとsvが示されるので、おばあさんは目的語になります。o(sv)の形です。見たとういう動詞に私がの意味がついて一体化しています。つまりSOVとかSVOとかで区別する範囲を超えています。 他動詞ではnukarは見るですが、a-en-nukarで あなたが私を見るといということになり、動詞が主語・目的語も合体してしまうので、紛れがありません。 とはいうものの、三人称は人称接辞がなさそうで、合体しないのでSOVの形になるようです。
話がそれましたが ・動詞に過去・現在とかの区別がないこと ・否定の場合に動詞の前に否定を表す言葉が置かれる なども中国語とアイヌ語で似ています。
これから、漢字の発音で、倭国での呉音が頭にあっての連想ですが、呉越同舟という言葉がひらめきました。日本で越前・越中・越後という国がありましたが、その元は越の国です。今まで山を越えた国と思ってましたが、中国の越からきた人のいる国かもしれないと思えてきます。呉越が滅んだときに、倭国には呉の人たちが、日本海側の出雲の国には越の人たちが住み着いたということではないでしょうか? 日本列島という舟に、呉越の人が乗り込んだということが、呉越同舟の意味に思えてきます。
呉越は中国の春秋時代で、紀元前の話ですので、時代的にはあってません。しかし、アイヌ語の起源を考えていて、似たような話は後世の時代でもありそうです。
参考
『アイヌ語の世界〈新装普及版〉』田村 すゞ子、 吉川弘文館; 新装普及版 (2020/2/27)
『アイヌ語文法の基礎』佐藤 知己、大学書林 (2008/4/1)
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