2021年11月5日金曜日

世界最古のパン

 『パンづくりのメカニズムとアルゴリズム』吉野精一、柴田書店 (2021/10/2)
のなかに 世界最古のパンのことが書いてました。150ページです。

コペンハーゲン大学の考古学研究グループが14,400年前の「最古のパン|Oldest bread」を発見した。それまでの9000年前を大きく変えた。

その発見は物議を呼ぶ。 ①小麦の原生種は1万年前頃に中央および西アジアに自然生育していたものがトルコや中近東あたりに伝搬された、 ②農耕のはじまりも小麦や大麦の栽培がはじまった1万年前頃と推察されているからである。
狩猟採取経済から農耕経済へ移行する段階で穀物の栽培に着手したという大前提が崩れるからである。

「パンの誕生→穀物の栽培開始」ということが考えられます。狩猟採取経済であっても携帯用のパンを持っていれば、はるかに優位です。アフリカを出立する人類の大移動にも、野生種から作られたパンのようなものを持っていれば、行き倒れにならずに移動ができます。 パンの場合はそうとして、米の場合でも米作りが伝搬したと言われますが、技術の移転ではなくて、稲とともに人が移住していったことが考えられます。中国から日本へも蓄えのk米を持ってやってきたということです。陸路より海路の方が可能性があります。

以下に、この本の引用元がありました。翻訳でなんとなく理解できます。

https://www.pnas.org/content/115/31/7925
要約 パンの起源は、長い間、南西アジアの新石器時代の農業と穀物の家畜化の出現と関連しています。本研究では、ヨルダン北東部に位置し、14.6–11.6 ka cal BPに位置するナトゥフィアン狩猟採集地Shubayqa 1の合計24の焦げ物残骸を分析します。我々の発見は、パンのような製品の調製と消費が少なくとも4,000年前に農業の出現を前にしたことを実証する経験的なデータを提供する。学際的な分析は、アジア南西部の農業(例えば、トリチカム・ボオチカム、野生のアインコーン)と根食品(例えば、ボルボスコエヌス・グラウカス、クラブラッシュ塊茎)の「創設者作物」の一部を使用して平らなパンのような製品を生産することを示しています。ナトゥフィア時代の利用可能な古植物性の証拠は、この間、穀物の搾取が一般的ではないことを示しており、農業がしっかりと確立されたときにのみ、パンのような穀物ベースの食事が主食になる可能性が最も高い。

「14.6–11.6 ka cal BP」とは
【Ka】[kilo annum]. 《 kilo annum 》1000年前、calibrated years before the present
のようで、14.6千年から11.6千年前の意味。

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