2021年10月2日土曜日

日本語のモーラ(拍)

 日本語を考えるのに、第三者的に見ることが大事と思います。それで

『音声を教える(国際交流基金日本語教授法シリーズ2)』国際交流基金, 磯村 一弘、ひつじ書房 (2009/2/18) を見ています。日本語を母語とする人は意識していないと思います。目からうろこでした。

拍(モーラ)というのは、日本語の音の長さを表すときに使う単位です。同じ意味で、モーラ(mora)と言う言葉を使うこともあります。 (1)定義:拍=日本語で、長さがだいたい同じ単位    説明は省略
(2)仮名1文字=1拍
   説明は省略
(3)拗音=2文字で1拍
 「〇ゃ」「〇ゅ」「〇ょ」のように書かれる拗音は、その2文字で1拍になります。たとえば、「しゅくだい」は「しゅ/く/だ/い」で4拍ですし、・・・
(4)「ー」(のばす音)、「ッ」「ン」もそれで1拍

たくさん例がありますが、一つだけ、
 「サッカー」 → サ/ッ/カ/ー(4拍)

母音の長短や「ッ」「ン」、拗音の発音がうまくできないのは、拍の長さに問題があるからです。

拍を意識する練習例がいくつかありますが、グリコ (遊び)のようなものがあります。歩数と拍を対応させるものです。この練習では、拍を区切って発音するので、不自然になりがちです。そのため「2拍フット」のリズムを使った練習法が紹介されています。

「フット」とは、英語の「foot」からきていることばです。日本語で「脚」と訳されることもありますが、一般的にはそのまま「フット」と呼ばれることが普通です。「フット」とは、簡単に言うと、「その言語のリズムのもとになる単位」と定義できます。これは、日本語だけではなく、いろいろな言語について、考えることができます。

たとえば、英語の場合は、強い音から弱い音までがフットになっていて、これがだいたい同じぐらいの感覚で現れて、リズムのもとになっています。中国語やフランス語の場合、1つ1つの音節がだいたい同じぐらいの感覚で発音され、これがそれぞれのことばのリズムになっています。

それでは、日本語の場合は、何がリズムのもとになっているのでしょうか。日本語では、2つの拍がいっしょになった、2拍のまとまりが「フット」になり、リズムを作っていると考えられています。この、日本語のリズのもとになる2拍のまとまりを、「2拍フット」(bimoraric foot)と呼びます。

例は省略しますが、2拍を「タン」、1拍を「タ」で表すと、俳句の「5/7/5」は
「タンタンタ、タンタンタンタ、タンタンタ」となるようです(この部分、本当はリズム譜的に示されています)。

日本語の省略語が2拍ずつのまとまりで作られる例で、「パソ・コン」があげられています。これも昔に「パーコン」と呼ばれていたのが消えてしまったのも2拍のまとまりでは劣っていたからという気がします。「いち・に・さん・し」も「いち・にー・さん・しー」のように2拍にまとまる例もありました。

話が戻って、「2拍フット」リズムの練習ですが、手拍子を使っての練習が紹介されています。

これらの練習方法は、日本語の本質をついていて有効だと思います。練習で俳句や川柳を作るとありましたが、外国ではこのような文芸的なものがあるのだろうかという気がして、ネットで見ると、英語の俳句というのがありましたが、日本人の偏見か、全然五七五を感じません。五七調は日本語の特徴的なものに思えます。この俳句のおおもとは万葉集の和歌になるはずですが、。この時にはすでに「2拍フット」があったということです。

現代は、外国からきた人に日本語を教えるということで、教育の一環として俳句とかの練習をしていますが、七世紀の時代には版図拡大中で、ヤマト言葉を理解してもらわないといけないので、語学教育では和歌を用い、習作みたいなものを集めたのが万葉集で、日本語教師の大元締めが大伴家持だったということです。

妄想が続きますが、集団で、和歌も手拍子で唄ってたかもしれません。当時では、和歌が重要視されていたからこそ、万葉集にまとめられたというこということです。日本書紀の中にも歌謡的なものがあり、省くことができなくて入っていると思いますが、何か画期的なものとして意識している必然性のようなものがあるかもしれません。

アイヌ語に、五七調があるのかが気になります。今まで気にしてなかったのですが、アイヌ語になければ、日本語とアイヌ語の分別がはっきりするかもしれません。

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