「トンパ文字の神話」で書いてますが、
の中で、88ページです。
ナシ語は日本語と言語構造が近似しております。現在もナシ族同士はナシ語を用いて話し、一方、日本人も日本語で話すのですが、次の点でナシ族と日本人との間で大きな相違があると言えます。日本人は書記する場合も現在日本語であります。ただし、口頭言語と同じでないことは、今、言ったとおりですが。しかし、ナシ族は書記する場合は ナシ語で書くということがなく、ナシ語とは言語構造を異にする漢語(中国語)で記すということであります。
口頭言語と書記言語とが遊離したままでは、極めて不自由・不便であると先に述べましたが、その不自由さ・不便 ということが常にどこにでも当てはまるわけではないことも言いました。ナシ族のように、口頭言語と書記言語とが異なったまま存続し、現在に至っているといった現実があるからであります。このナシ族の在りようは、あるいは不自由・不便という以前に、ナシ族という少数民族が、中国国内で中国語を話す大多数の漢民族の中で居住しており、まずはその点が日本と大きく異なるところであると言ってよいかと思います。周りが漢民族であるとき、ナシ族同士はナシ語を話しても、漢民族と話す機会も大変多く、その場合は中国語で話すことになり、おのずとナシ族はナシ語と中国語のバイリンガルになると考えられ、実際確かに現在もナシ族はバイリンガルであります。私の経験からも、夏休みを利用して調査に行きますと、ナシ族の人が二、三人いてずっとナシ語で話しているんですが、後ろのほうに 漢民族がいて、ひょっと後ろを見て、もう漢民族の人と中国語で話すといったことを幾度も見ました。
日本語を基準に考え、ナシ語が特殊に思ってましたがそうでもないような気がしてきました。
ヨーロッパにラテン語があります。ネット検索では
ラテンご【ラテン語】
インドヨーロッパ語族のイタリック語派に属する言語。 現在は死語だが、学術用語やバチカン市国の公用語などで使われている。 もとはローマ周辺のラティウム地方の言語だったが、ローマの勢力拡大とともにイタリア全土に、さらにローマ帝国の公用語として当時のヨーロッパ世界に広がった。
近代までは学術界などでは主要言語として使われたとのことで、読み書き用の言語であったと言えます。ローマ帝国あっての言語で、各地域の話し言葉はあったはずですが、文字としてラテン語が使用されたということでしょう。ヨーロッパでのラテン語から、アジアではナシ語と中国語の関係を見て、ラテン語=中国語になると言えます。ラテン語はローマ帝国の滅亡で使われなくなりましたが、中国語は今も存在していて、違うように見えますが、実質的には継続し、地域の中心言語として周りの地域に強い影響をもたらしていると思います。
こうして見ると、日本語は、中国語に抵抗し、漢字をとりいれましたが、訓読みを作り、語順をまあ守り、仮名文字を作り、「てにをは」を表記化したりと話し言葉と書き言葉が遊離してなくて、なかなかのものだと思ってきます。
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