2021年8月7日土曜日

中国語と日本語の疑問文と韓国語

 次の本の受け売りです。

『中国語はこんなに日本語と似ている』、樋口真二、リフレ出版、2014年12月28日

疑問文での疑問詞の位置が似ているとのことで、そうだと思います。 「これは何ですか」という文があります。

中国語の入力ができないので、グーグル翻訳に頼ります。

これは何ですか
Korehanandesuka
这是什么
Zhè shì shénme

と対応しています。这→これ、是→は(~です)、什么→何 となっているので、「これ は 何」という語順になっています。 英語では、
What is this?
なので、「なに です これ」ということで、まったく別物です。 逆に、日本語では、「なんなのこれ」みたいで、詰問調になってます。 英語で、 This is what? と言えば、×になりそうです。グーグル翻訳では これは何? と訳してくれますので、間違いではなさそうですが。 ほかの文例もありましたが、省略します。とにかく英語では疑問詞が文頭に来て、中国語や日本語と違います。

中国語と日本語が似ているとの話に洗脳されていると思いますが、朝鮮の言葉はどうだろうと気になりました。 グーグル翻訳では、日本語→韓国語の変換です。

이것은 무엇입니까
igeos-eun mueos-ibnikka

となってます。ハングルを理解してませんが、「이것은」→「これは」、「무엇」→「何」、「何ですか」→「무엇입니까」になっています。しかし、「ですか」→「인가」と変換されるので、助詞的な部分で違っていそうで間違いがあるかもしれません。とにかく「これ」と「何」の語順は中国語や日本語と同様です。元からこの語順だったか、中国周辺の国が中国語の影響を受けて変化したかのどちらかだろうとは思われますがわかりません。ついでに、韓国語(朝鮮語か?)では、否定の副詞は動詞の前につくようです。中国語や英語のように動詞の前に否定がきます。こうしてみると日本語は疑問文だけでなく、否定文でも否定の言葉は文の最後に置かれ、語順を保持しています。より単純化の方向に進んだクレオール的な言語だなとあらためて思います。

さてハングルですが、ぱっと見では変な文字です。 『やさしい例文で学ぶ朝鮮語の基本会話』、権 在淑、ナツメ社、1992年 この本で、最初の「朝鮮語とはこんなことば」が簡潔でわかりやすいです。その中で、朝鮮語の文字について

朝鮮語の文字は韓国では普通<ハングル>と呼ばれている。これは「大いなる文字」の意であるとされている。しかし、この呼称は北朝鮮では一般的でなく、北朝鮮では普通<ウリグル>(私たちの文字)と呼ばれている。
 さて、ハングルは、文字通り独創的で人工的な発明品としての文字である。朝鮮王朝、いわゆる李氏朝鮮の四代目の王・世宗(セジョン)とその学者たちによって1443年に完成され、1446年に「訓民正音(くんみんせいおん)」という名で公布された。そして文字と同じ名前を持つ「訓民正音」という本が現在まで伝わることによって、今でも我々はひとつひとつの文字の成り立ちを文献の上できちんと知ることができる。このことは世界の文字の中でも大変めずらしいことだろう。子音は発音器官の形をかたどって、母音は天(・)、地(―)、人(|)をかたどって作られ、制字原理には、李朝時代の支配思想であった朱子学的な世界観が反映されている。当時の中国音韻学の理論に学んだところも多かったようだが、文字の形は漢字やローマ字などとはまったく異なった独創的なものである。
 ハングルは表音文字かつ音節文字であるという点では日本語の仮名と同じである。しかし、ひとつじとつの音節がまた子音字と母音字はアルファベットのようにそれぞれ1字母が1音を表している。 例では「ka」が「k」の部分と「a」の部分とで合成されている図があり、要するにハングルは仮名のような音節文字的な性格と、アルファベットのような性格を両方兼ね備えているのである。

引用が長くなってしまいましたが、ハングルは一五世紀に開発され、紆余曲折はあったでしょうが、6000万人レベルの言語として存在しています。たとえば日本でハングルを日本語の発音形態にあわして国語にしたくてもできないと思われます。強権的な国家的な力がなければ文字使用はできません。これは漢字でも同様で、簡体字(かんたいじ)は、1950年代に中華人民共和国で制定された、従来の漢字を簡略化した字体で、強権的なものに思えます。古い時代の漢字も、大きな国が生まれて、意思伝達に文字が必要となり作られたような気がします。ただ歴史が残ってなく、最初に文字が生まれた時には、単語につく「てにをは」的な部分にまで手が回らず、無視されてそのままになって発展したのが中国語で、日本語とかではなんとかならないかと仮名ができた修正バージョンの気がしてきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿