図書館でタイ語の近くにあったので借りてきました。
トンパ文字(トンパもじ、中国語:東巴文)またはトンバ文字とは、中国のチベット東部や雲南省北部に住む少数民族の一つナシ族に伝わる、象形文字の一種である。ナシ語の表記に用い、異体字を除くと約1400の単字からなり、語彙は豊富である。現在、世界で唯一の「生きた象形文字」とされる。
ナシ族の中でもごく少数の「トンバ」と呼ばれる司祭によってのみ受け継がれている文字である。中国語での音訳は「東巴(Dongba)」。(ウィキペディア)
トンパという宗教者によって書かれているのでトンパ経と呼ばれます。ナシ族は「占い」を大切にし、「骨占い」が重要で、それが甲骨文字を起源としていることを思い出させると、下記の本にありました。 『トンパ文字』、王 超鷹、 マール社 (1996/4/20)
以下、「骨占い」の記述です。
この占いは、ナシ族の人々が結婚の日取りや方位を知りたいときや問題の解決にあたるときに行われる。トンパが骨占いをするときは、ヤギの肩の骨しか用いず、他の動物は使用しない決まりになっている。その方法についてみてみたい。
まず、ヤギの骨から肉をきれいに取り除き、洗って干して保存する。・・・占いの依頼がくると、、トンパは殻のついた麦を入れた竹籠を前にして正座する。これは屋内でも屋外でもかまわない。そしてヤギの骨を手に持って、目を閉じて呪文を唱える。それから、あらかじめ聞いておいた依頼人の名前と占う項目を告げ、目の前の籠の上に骨を置く。次に、鎌と石をこすりあわせて摩擦で火を起こし、麦に火をつけて吉を授けるよう神に祈るのである。
火のついた麦ははぜて飛ぶのだが、この飛ぶ方向と骨に入るひびの具合から神の啓示を読み取り、吉凶を占う。うまくいかないときは、成功するまで繰り返す。
ここに、それぞれのひびが示す意味について詳しく記されたトンパ経がある。そのあらましを一部みてみることにしよう。以下略。
このあと、ひびの入り方の図と、その横に解釈が絵文字で示されていて、吉凶やそのレベルなどの説明があります。もちろん絵の解説がないとわかりません。あってもわかりにくいですが。しかし、適当に、自分に都合のよいように占っているのではないことはわかります。
これを見て、今まで甲骨文字がどのように使われていたのか、わかってませんでしたが、トンパ文字の例から、祭祀儀礼に使われていた様子が具体的なイメージとして持てました。
このトンパ経は、トンパ文字を使いますが、トンパという宗教者の覚え書きのイメージです。他の人に読んでもらうものではないので、「てにをは」とかがありません。自分がわかればよいので、話言葉と同じ必要はありません。 甲骨文字も同様に思われます。中国語が、祭祀儀礼の中の文字を取り込む過程で、膠着語と呼ばれる重要でない部分を取り除いて孤立語に変化していく流れが納得できます。
トンパ文字には彩色されたものもあり、色が意味をもつことから、例はなく思いつきですが、馬とか白く描かれ、これで白い馬を表した可能性が可能性があります。白馬で「馬は白い」とするか「白い馬」とするかはそのときの状況によるとしたら、タイ語での馬を形容する白いが馬の後に来る語順も絵文字の痕跡だったかもしれません。
トンパ文字についてほかにも、いったい何なんだろうかと思うことがあります。 先の本の中で、昔話の記録 Record of Old Stories の中に絵物語があります。絵文字は省き、解釈のみ抜き書きします。
鷹のくちばしに、血も骨も肉も羽毛も、何もついていなければ、鷹はまだ何も悪いことはしていないと言えるでしょうか。
ある赤い牛は、虎に食べられました。そこで別の牛は、これは虎の罪だと言いました。そのとき、虎はパッとその牛に飛びかかりました。その影は森林にはっきりと映りました。森にいる牛は驚いて、虎に罪をかけることをしなくなりました。
これが昔話なのかと思いますが、牛はナシ族の人で、虎は外部の勢力、侵略された様子を、間接的に、わかりにくいトンパ文字で記したような気がしてきました。チベットの文字とか漢字とか文字は知っていたはずなのに、トンパ文字を作る出したのは、民族の自立的な何らかの強い意図があったと思えます。
先の本の中で、ナシ族の生活や習慣が日本と似ているとありました。 以前の記事を思い出しましたが、ナシ族とミャオ族は関係なさそうです。 北国の春 ミャオ語
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