『ニューエクスプレス・スペシャル 日本語の隣人たち』中川 裕 (監修)、白水社 (2009/7/10)
上記の本を図書館で借りました。言語の常識を壊されます。
以下は、上記の本のメモ書きです。まとまりがありませんが、引用の体裁のないところもほぼ、抜き書きの引用です。 日本語の周りにはいろんな言語がありますが、日本語は許容範囲が広い言語だと思いました。V+O+S の形を同時通訳するときに、日本語だとおかしな感じですが、なんとか訳していけます。しかし、英語では、文章が終わらないと訳せませんので、英語中心の世界では淘汰されていく言語のような気もします。
・「セデック語」
どこかと思いますが、台湾の原住民言語で、
オーストロネシア言語に属します。オーストロネシア語族は、他に、フィリピン諸語(タガログ語など)、インドネシア諸語(インドネシア語、バリ語、アチュ語など)、マダガスカル語、ニュージーランドのマオリ語、太平洋の島々の言語(ハワイ語、フィジー語、トンガ語など)を含みます。台湾原住民諸語は、オーストロネシア語族の中で最も早くに枝分かれした一群の言語で、オーストロネシア語族の古い特徴を残していると言われています。台湾以外の言語では、フィリピン諸語が最も台湾原住民諸語に近いとされています。
1985年下関条約で台湾は清から日本に割譲されました。1945年、日本が太平洋戦争に負け、その後、台湾は中華民国の国民党政府の支配下に置かれました。言論棚圧により、日本語・中国語北京方言を基とした台湾の国語の影響を受けているようです。1990年代から少しずつ母語教育が始まったようです。文字がなかったので、ローマ字が使われます。
母音はaiueの4つ。aは日本語の「ア」で、あとは違うようです。子音では「?」みたいな記号があります。「’」でも表すようで、「’A・・」の例もあるので、「ッア」的な発音だと思われます。驚きは語順で、述語が先、主語が後になるとのことです。しかし、主題を先に置くことができ、主語+「'u」+述語 の形もあるようで、柔軟性があります。人称代名詞では1人称複数で、包括系と排除系の二種類があります。また、人称代名詞の主格接語形というのがあります。1人称、2人称の場合、述語のあとにつきます。これは、アイヌ語のも人称接辞というのがあり、動詞の前に着くので違いますが、関係がありそうにも思えます。声調のことは書いてませんので、多分無いのでしょう。
・「ブヌン語」
こちらも台湾です。先の「セデック語」とは別のようです。ブヌン語には正書法があり、ラテン文字を使うそうです。発音では短母音はa,i,uの3つです。「セデック語」でも「e」は表記されないとのことで似たようなものかもしれません。語順は「述語が文の先頭」です。人称代名詞は数が多くて書いてありませんが、1人称複数では、包括と排除の二種類があります。
・「ニヴフ語」
北海道の北の細長い島、樺太、サハリンと呼ばれる地域のサハリン方言です。ツングース系の言語ともアイヌ語ともちがうと書いてます。母音は6つ、長短の区別はなく、子音には有声音と無声音の区別、有気音と無気音の区別があります。語順は、主語のあとに動詞がきます。1人称複数形では対立と包括の区別があります。格語尾があり、場所を示す「~に」「~で」みたいなものですが、「~が」や「~は」は無いとのことです。人称接辞があり、動詞につき、目的語のかわりになります。
・「樺太アイヌ語」
こちらは、『日本語の隣人たちⅡ』に取り上げられています。ニヴフ人のほうが先住民族です。こちらは、母音は5つ、子音は11個で「ニヴフ語」より少ないです。人称接辞があります。音節末にh音がたち、北海道アイヌ語ではp,t,kとちがうようです。ただし、母音で始まる接辞が後続するとp,t,kがあらわれるとあります。1人称複数形では対立と包括の区別は書いてないのでなさそうですが、自動詞・他動詞での区別があるようです。本では何を書いてるか、ぱっと見では理解できません。
・「イテリメン語」
北海道の東端、北方4島、千島列島をたどっていくとカムチャッカ半島にいたります。この地の先住民族のイテリメン人の言語です。西部語、東部語、北部語とあったようですが、このうち西部語が残り、流暢に話せる人は20人に満たないと推測されるとあります(この本の出た時点でか?)。 発音は母音が6つ、長短の区別なし、子音には声門閉鎖音的なものがあるようです。「p」と「p’」とか。「?」みたいな記号もあります。「恐るべき子音連続」のコラムがあり、6子音が連続するものが紹介されています。1人称代名詞では、話相手を含むか、そうでないかの区別はなさそうです。動詞の活用で、人称・数・時制を含むので、語順については自由度があるようです。主語+目的語など+述語(動詞など)が一般的とあります。
・「エスキモー語」
東はグリーンランドからカナダ・アメリカ合衆国アラスカ州、そして西はロシアのシベリア極東と4カ国にわたって話されている6つの異なる言語です。シベリア・ユピック言語というアメリカ合衆国アラスカ州セント・ローレンス島と、ロシアのチュトコ半島東端で話されているエスキモー語が取り上げられています。エスキモー語の表記はいろいろあるようです。母音は4つ、子音に無視音とかありますが、有声音の説明や、有気音・無気音の言葉は出てきません。ないような感じがします。動詞には、語尾に主語や目的語などが標示されます。動詞1語で文に相当する内容が表されることがあります。平叙文・疑問文・命令文でも語尾の区別があるようです。固定した語順はないと書いてます。主語の場合には能格、目的語には奪格が現れることがあるそうです。区別が必要な場合にはきちんと対応しているようなことだと思います。
・「ハワイ語」
ハワイ諸島の先住民のハワイ人の言語です。文字を持ってませんでしたが、英語のアルファベットを利用して文字が考案され、ハワイ新聞とか発刊されたようです。その後、英語を話す人が増え、白人勢力による革命でハワイ王国は転覆、ハワイ共和国から、1900年にアメリカ合衆国に併合されたといういことです。ハワイと日本は、江戸時代からあり、カメハメハ4世から徳川幕府に移民の要請があったと書いてます。
発音ですが、母音は5つ、子音は8つです。声門閉鎖音があります。音節は母音で終わります。日本語の「ん」はありません。 語順は驚きで、動詞が文頭にきます。 目的語がある時の語順ですが、
動詞+主語+目的語+副詞(句)(時間・場所・移動先など)
となります。1人称複数の区別はわかりません。
ハワイ語と同系のポリネシア諸語のタヒチ語・サモア語と単語がとても似ているようです。距離にして数千キロ離れているのでびっくりとのことです。Hōkūleʻa(ホクレア)号の数々の航海の成功で、ハワイとタヒチの間の航海も可能性が示されされたようです。中国と日本の間などは近いものに思えます。