2022年6月3日金曜日

天頂星と古代の航法

 天文用語はわかりにくいです。星座の中で、黄道というのは太陽の通り道と説明されます。常識では星と太陽は別物に思いますが、昼間太陽の方を見ると実際は太陽と共に星座も光っているはずです。太陽に負けて目立たなくなってしまっているのかと勘違いしてました。どうも黄道は天球に地球の影を点で映したもののようです。実際には黄道の反対側に太陽があるということで仮想の軌道を示したのが黄道ということのようです。

「アストロアーツのWEBページ」に天文の基礎知識があります。星の位置は赤道座標で表します。

星の動き https://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/image/120s.gif

さて、天頂ですが、上の図の観測地点の真上です。星は見かけ上、毎日動いているように見える(実際は地球が自転している)のが日周運動です。天頂を通る星があれば、これが天頂星になります。同じ緯度のところでは同じ天頂星が時間をずれて真上に観測できます。 この天頂星は、真東から出て真西に沈むのではありませんが、これも勘違いしてました。

この図の説明は以下のページです。

3.天球の回転 https://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/kiso03-j.shtml

天頂星の概念になります。 『天文の考古学(ものが語る歴史シリーズ)』後藤 明、同成社 (2017/5/25)に書かれています。17頁です。

また天頂と関連して、天頂星(zenith star)の概念を紹介しよう。自分のいる場所の緯度が一致する星は天頂星、つまり真上を通る星となる。たとえば北極点ではほぼ北極星がほぼ天頂に輝くのである。北極星はほぼ動かないが、地球上の他の場所ではある季節に天頂星が真上を通る関係となる。たとえばポリネシアのハワイでは牛飼座のアルクトゥールス(アークトゥルスという表現もあり)、フィジーではシリウスが天頂星となる(図1-8)。これらの島を目指す航海師はその島の天頂星が次第に高くなるのを観察する。そして天頂に来たら島と同じ緯度にいることを知る。あとは西か東に行けば島にたどり着けるのである。

図1-8ですが、以下の図のリンク:http://www.glass-bead.org/wp-content/uploads/DysonStarsENG.jpg


 図の引用は以下から The Way of the Pacific: Glass Bead in conversation with Freeman Dyson Freeman Dyson


このイメージはそれぞれの地域には固有の星があるということです。その土地の守護星のように思われ、その地の運命を示すイメージにつながり、これが占星術に繋がっていくことになったのかという気がしてきます。とにかく、航海師は星と地域の関係を感覚的に捉えていたということです。

本当だろうかと思いますが、これを実際に実現したのが、チェチェメニ号です。
以下にあります。 チェチェメニ号の冒険


昭和五十年七月か ら翌年一月にかけて行われた沖縄の海 洋博に、ヤップ離島のサタワルからチ ェチェメニ号が沖縄まで来まして、そ の際、門田先生が『チュチェメニ号の 冒険』という映画にお撮りになって、 随分多くの賞をお取りになった映画で ございましたけれども、・・・

緯度航法と呼ばれるものが話されていて参考になります。

彼 ら の 航 法 と い う の は、 あ る 緯 度 の と こ ろ ま で 行 こ う と、 と に か く 上 が っ ち ゃ っ て、 そ れ か ら 真 西 に 行 け ば 日 本 列 島 へ 行 く ん だ と。 そ う い う 理 解 の 仕 方 で す か ら、 決 し て 三 角 形 の 最 短 距 離 を 行 こ う と い う の で は な し に、 ま ず 北 に 行 っ て、 そ れ か ら 西 へ 行 け ば い い ん だ と い う よ う な 形 で す

中国から日本への伝来で、朝鮮半島経由が絶対的に考えられていますが、中国から直接に日本に来ることもそれほど困難なことでは無いように思われてきます。

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