世界言語の中の日本語よりの引用です。
67頁に日本語の音節構造について、
日本語の音節は、すでに触れたように、CVという単純開音節を基本とし、
促音、撥音以外に閉音節(CVC)を持たない。このような開音節型の言語
は、ウラル・アルタイ語を含めてユーラシア内陸部の言語にはほとんど見ら
れない。
とあります。Cは子音で、Vは母音だと思います。アイヌ語と朝鮮語ではどうかと思いました。
日本語とアイヌ語、片山龍峯著、鈴澤書店発行
を借りてきて見ると、26頁に日本語とアイヌ語の違いの項があり
発音上の大きな違いは、アイヌ語では単語の終わりが子音で終わる言葉がかなりあると言うことである。日本語の場合は、母音を伴っている。両方の言葉を比較してみよう。
たとえば、itak(話す)という単語。これを日本語で書き表そうとするとイタックとかイタク、イタク(半角のクは実際は小文字になっています)とするしかない。日本語では子音だけを書き表すことができないからだ。sukup(育つ)もそうだ。最後のpだけを日本語では表せない。スクプかスクプかスクップのように核しかない。アイヌ語研究者は仮名文字で表すためにさまざまな苦労をしてきた。
とあります。
また朝鮮語ですが、日韓対照言語学入門、油谷幸利著、白帝社発行の58頁に末子音の対応というのがあります。漢字音での話ですが、対応表があります。これを横に並べました。順番に対応しています。
古い時代
中国語・・m、n、η、p、t、k
韓国語・・m、n、η、p、t/l、k
日本語・・ん、ん、う・い、ふ(旧仮名遣い)、ち・つ、く・き
現代
中国語・・ー、n、η、-、ー、ー
韓国語・・m、n、η、p、l、k
日本語・・ん、ん、う・い、う、ち・つ、く・き
(注:このηという文字はngの発音のように思われるが字体が違うかもしれません。ーは消滅の意味)
韓国語においては古い中国語のmとnの区別をよく保存しているが、日本語で
は両者の区別は存在しない。ηも当時の日本人の耳に聞き取れなかったが、
何かの音があるという感覚はあったらしく、「う、い」で写している。
語末のtとkは、日本語においては母音を伴ってはいるものの古い音をよく保存している。
これに対し、北京方言ではnとηを除いて語末子音が消失しているが、現代中国音でも、広東方言のように語末のp、t、kを保存している方言もある。
とあります。朝鮮語やアイヌ語にある、単語の子音で終わるものが日本語ではないということです。
単語の終わりに子音が、あり・なしを考えると、個人的には、最後に母音で終わる方が進化形のように思われます。
英語ですが、10mくらい離れたらcapとcatの違いなどわかりにくくなると思います。キャップとキャットの違いの方がわかりやすい気がします。この本には促音の「っ」ですが、欠配(けっぱい)、欠点(けってん)、欠陥(けっかん)、欠損(けっそん)の四種類の「っ」を韓国人は聞き分けるとあります。普段から気にしない日本人の立場なので間違ってるかもしれません。単なる憶測ですが、CVCよりもCVの形の方が、単純化して、よりコミュニケーションが取りやすくなると私には思われます。従って、系統的なことを言えば、日本語はアイヌ語とも朝鮮語とも関係のない言葉であるということになりますが、クレオール語のようなものだと考えれば、優れたCV形式を日本語は取り込んだと考えられます。違いよりも似ているところを見ていくことで親戚関係にあるという話になってきます。中国語で末子音が消滅していくのも、おそらく効率化を目指す言語としての当然の進化のようにも思えます。
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