日本語源広辞典、増井金典著、ミネルヴァ書房より
やすい{安い}
語源は、ヤスム(別項)参照ください。「ヤスム(休)ヤスラカ(安)と同根のヤス+イ」です。購入時不安のない価格が「安い」の語源となります。
と書いてあります。その後には安のつく関連地名姓氏で安などは、洪水がなく、水利の良い地、清らかな水の豊かな集落、その一族とあります。安田・保田も水害のない農耕集落とあります。昔ならそうかなで終わりますが、
日本書紀に天の安田が書かれていること、唐の都の長安にいる人に読まれることを意識していること、組紐の安田組などあり、もう少し粘りたいと思います。
別項のヤスムですが
やすむ[休む・息む] ヤスムの語源は、次の二説があります。説1は、「安しの語幹+む」です。心身を安らかにする、意です。説2は、「屋+住む」です。二説いずれも、休む、家で休憩、意です。休らうも同源です。中国語源【休】・・「人+木」。人が木陰にいるが語源で、休む意。【息】・・「自(鼻)+心」。鼻から息が出ているのが語源で、ヤスム。憩う意。
と書いてあります。説2は、どうかとは思います。住む→休むなので、どういう時間差で生じたかのかとか、家の中であっても休む以外に翌日の仕事の準備をしたりといろいろなことが考えられますが、休憩するという意味に特定された必然性が感じられません。家の中で休むことを良しとしても、範囲がいつから外でも休むということまでひろがったかとか、どうだろうと思います。
安らかの項に、中国語源【安】の説明があります。「宀+女」。家に女がいてくれると、すべて安らかである。
とあります。中国語源はもっともらしさがありますが、語源というのは、こじつけっぽいところがあります。
「購入時に、不安の無い状態から安いが低価格の意味」だと考えている人がいたのはうれしいですが、説得力のないことを言ってるのかとも思いました。
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