言語の歴史を考えていて、危機言語といいうことを知りました。
世界には、現在約7,000の言語が話されています。その約半数は話者数が6,000人以下の言語です(いわゆる少数民族語)。さらにその中に、話し手がごくわずかしか残っていない言語がおよそ450あることが知られています。これらの言語は、政治経済的・文化的に優勢な大言語に圧倒されたり、より勢力のある周囲の言語に圧迫されたりして、いま地球上から急速に消滅しつつあります。「危機言語」とは、存在自体が消滅の危機に瀕している、このような諸言語のことです。リンク先
優勢な言語が劣勢な言語を駆逐していくということのようです。
それで、ランチェスターの法則を思い出しました。図書館から借りてきた
自然の数理と社会の数理 ーー微分方程式で解析するⅠ、佐藤總夫著、日本評論社
を見ています。ランチェスターはエンジニアで航空工学で貢献した人のようです。戦の数学モデルを考えたパイオニアとのことです。詳しいことはこの本を見てもらえれば良いのですが、私なりの理解で進めたいと思います。
話を単純化して、同等のパンチ力を持った人がけんかすると考えます。単位時間にパンチを一回繰り出すことができるとします。けんかは1人と2人です。単位時間に2人は一発づつ、計2発を1人に加えるのに対し、1人のほうは2人に対してどちらか1人にパンチを繰り出すことになります。2人目はもう1単位時間が必要になります。単位時間で考えれば、2人に対して0.5発のパンチを与えたと考えることができます。ダメージで言えば、1人の方は2発を受け、2人の方は0.5発の影響になります。つまりダメージの比率は1:4となります。1人と3人では、この比率は1:9となります。人数の二乗で効いてきます。
これで、この本の
戦闘力=武器の性能×(戦闘員数)^2
の式になるとして良いだろうとなります。武器の性能ですが素手の場合は1ですが、武器を使うことにより、戦闘力を増すと言うことです。たとえば、10人と7人で戦う場合、素手であれば、戦闘力は100:49ですので、ほぼ2倍の差になります。素手であれば相手の2倍の早さでパンチを繰り出すとかしないと少数のグループは対等に戦えないことになります。なかなか大変ですので、武器を使って、たとえば2倍の戦闘力にしないといけないということになります。
言語の場合も同じように考えられます。1人と2人とでコミュニケーションを取る場合を考えて
影響力=伝達手段の性能×(言語を話す人数)^2
のように思われます。(単に思っているだけで証拠的なものはありません)
ランチェスターの法則の式の恐ろしいところは、少数派の全滅には、多数派の損失がそれほででも無いということにあります。この本には、紅軍100人と白軍50人が戦った場合、白軍50人全滅の時に、紅軍の損失は14人に留まるということです(80-81ページ)。これを、言語に当てはめれば、少数者の言語はどんどんグローバル化により、多数派におされ消滅していくことになります。上の式で伝達手段の性能というものを使っていますが、これは音声と文字の意味です。文字を獲得した言語とそうでない言語では圧倒的な差があるということです。文字を持たない少数派の言語は消え去るしかありません。今は、グローバル化によって英語の地位が上がっていると思います。英語が優れた言語とは思いませんが、文字を持ち、さらにネットとかで、伝達性能があがれば、格差がますます広がると思います。言語の統一化(英語化)が進むはずです。伝達手段がどの言語でも平等になるためには、それぞれの言語を尊重した、おそらく自動翻訳的なものが必要になってくると思います(これぐらいしか思いつきません)。グーグルさんとかに頑張ってもらいたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿