2018年6月24日日曜日

安いの意味

 安いの意味として、低価格の意味があります。
広辞苑第7版、新村 出編、岩波書店の「やすい」をみると
[安い・易い]とあり安の方には
①悩みがない。心のどかである。②安心だ③平易である④かるがるしい⑤廉いとも書く、品物の量や質の割に値段が低い・・・
とあります。
 字統 普及版、白川静著、平凡社の「安」の項には
アン、やすらか・おく・いずくんぞ
とあり、途中は省きますが、最後に安価・安易のように用いるのは国訓である。
とあります。
 デイリーコンサイス日中辞典を見ると
安いには便宜、低廉とあって「安」の字は出てきません。日本で、低価格の意味が追加されたようです。
 どうして日本で低価格の意味ができたか、考えてみました。安いには元々、心のどかであるという意味があります。貨幣経済の発達で、物を買うときに値段の高低が大事になります。たとえば時価とあれば精神的に不安になります。値段が低ければ、精神的に安定します。安いには安心の意味があったのではと思います。「安心価格」から安いということになったかもしれません。
 ひょっとしてと思い、cheapについて英和辞典を見ました。
①(現行値段・実際の価値より)安い②努力なしで得られるとかの意味で、俗語的にa気分が悪いb恥ずかしい、きまりが悪い、しょげた
とあって、良い意味ではありません。
 安心と低価格の二つの意味を持つ言語が日本語以外にあるかですが、
だめなもの・・・英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語、イタリア語、ロシア語、中国語などのようです。ほかの言語であるかどうかはわかりません。語学に不得意なもので、ぱっと見ですので、間違いの可能性はもちろん高いです。
 たまたま、インドネシア語のところで
安いをmurahというそうですが、逆にmurahで見れば、廉価な、安いという意味のほかに、寛大な・幸運なの意味があるようです。探せば日本語と同じように、低価格・心安らぐの意味を持つ言語があるような気もします。
 感覚的には、売買行為で国民性が表れているのかもしれません。日本では、ぼったくりを恐れ、インドネシアでは感謝の雰囲気を感じます。安いという意味だけで無く付随的な意味が言語によってあるということで、正確に翻訳する(ニュアンスを伝える)のは難しいということも感じます。

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