2023年3月22日水曜日

桃太郎伝説と温羅(うら)伝説

 桃太郎伝説と温羅伝説がコンパクトにまとまっています。 岡山シティミュージアムのところにありました。


桃太郎=吉備津彦、鬼=温羅の戦いと混然一体となった話です。 今までの記事で、桃太郎伝説の影響を受けてしまってるかもしれません。エンタメ的な話になっていて、観光とかでは良いのですが、大和朝廷とか渡来人の扱いなど迎合しているところとか、郷土愛的なものとか混ざっています。ギャップは感じます。思い込みを排していかないといけないとは思います。

以下の本に書いてあったのをメモ書きします。

『民俗学読本―フィールドへのいざない―』髙岡 弘幸 (著, 編集), 島村 恭則 (著, 編集), 川村 清志 (著, 編集), 松村 薫子 (著, 編集)、晃洋書房; A5版 (2019/11/10)

「桃太郎」と伝説の「語り直し」
として、孫 嘉寧 氏が書かれています。

桃太郎伝説は、岡山県だけでなく、香川県にもあり、熊野神社に伝わる鬼退治によって地名が鬼無《きなし》になったという地名説話からとのこと。桃太郎の鬼退治に結びつき、神社も熊野権現桃太郎神社となったなどのことからの展開です。

「初めてこの地域の桃太郎伝説を唱えた人」という2人のキーパーソンが書いてあります。

岡山の温羅伝説桃太郎=吉備津彦説は、岡山の彫塑・鋳金家の難波金之助によって初めて提唱されたのである。難波氏は1930年に『桃太郎の史實』を著し、歴史文献や地元の口伝などの考察から、全国的に有名な桃太郎の鬼退治という説話の原型が岡山の温羅伝説であると提起した。

香川の鬼無ー女木島桃太郎伝説は、香川の小学校校長の橋本仙太郎によって最初に体系立てて提唱されたのである。橋本氏は1930年に新聞『四国民報』(のちの『四国新聞』)に「童話『桃太郎』の発祥地は讃岐の鬼無」という記事を連載し、地名と桃太郎の内容を関連付けて鬼無とその周辺を桃太郎の舞台と説いた。

ともに1930年の意味があるのかということについてですが、
岡山では、この年は、昭和天皇の行幸と陸軍特別大演習が控えており、郷土意識が高まった。岡山の伝説と桃太郎の説話を結びつけるのは、当時の皇国史観に合っていた。1930年代から日本は国際観光局を設立し、瀬戸内海での観光誘致合戦のようなものがあったのではとのことが書いてました。省略します。

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