2018年10月18日木曜日

都市国家

梵字入門(応用編)、松本俊影編、三密堂出版
この本の最初に梵字の歴史について記述されているところ丸写しです。

1,インドの変遷(梵字に関係ある部分のみ)
 梵字の歴史を語るに先だって、インドの古代の様子を簡単にたどって置きたいと思う。インドの文明を建設した人種はアーリア民族であるが、この民族はもとからインドにいたわけではない。紀元前二五〇〇~前一五〇〇年頃、インダス川流域には原住民による高度の都市文明が発達し、一種の象形文字もあった(但しこの文字は未だ解明されていない。)。この文明をインダス文明と呼ぶが、前二〇〇〇年頃、アーリア人が中央アジアのオクサス川流域方面からインダス川流域へ侵入して来て定住し、ドラヴィダ族等その地方の原住民を服属させて奴隷とした。こうしてインダス文明は破壊された。それ以後はアーリア人中心の文化に移る。始めアーリア人は半農半牧の民であったが、川の恵みによって農耕の生活に変わっていった。この頃、リグ・ヴェーダ(前一五〇〇~一〇〇〇)が成立。前一〇〇〇年頃、その勢力は東のガンジス川流域へと拡大していき、都市国家が成立。それにつれて部族長であるラージャの権力が増大し、インド人の間に階級が生じてきた。これをカースト制度という。その制度はバラモン(僧族)を最高身分として、次が軍事面の指導者である王や武士階級、第三が農工商を営む普通の人民で、これらの三階級はアーリア人であるが、最下位の奴隷はアーリア人以外の征服されたドラビタ族(*最初と表記が違っています。)等の人達で、 種々の賤業苦役に従事させられた。結婚、職業などにも強い制約をもった世襲の厳しい身分制度であった。こうした制度を認め、僧族偏重のバラモンの説く教に反抗の声があがるのは当然であって、その支配に反対する宗教革新運動を展開したのが仏教とジナ教であった。釈尊(前五六六~前四八五?)はこの時期に在って、人間の平等と八正道をおこなうことによって苦を解脱することが出来ると説き仏の慈悲を説いた。仏教が特に士族に支持されたのに対し、ジナ教は商人階級に支持をえた。・・・・以下略。
 仏教の話も面白く、カースト制度が紀元前からというのは驚きですが、都市国家というのに興味が引かれます。初期には都市国家であるのは、ギリシャでアテネやスパルタがあったように、都市国家ができて文明が発達していくのが一般的ではないかと思われます。日本の場合も皇国史観にこだわりすぎていて、古い時代にすでに統一されていたような錯覚を持っていますが、少なくとも奈良時代より前は、日本でも都市国家のようなものがあって、ある程度文化的な面(祭祀儀礼など)では共通するところがあっても、ほかの面では、ばらばらであったと考える方が無理がないです。

追記:H30.10.24
この梵字入門の本は古いので、アーリア人が侵攻してきたことやカースト制度については現代では認識が違ってきているようです。

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