2022年9月7日水曜日

松本清張の古代史

 松本清張の著作は多く、マニアでなければわかりにくいものがあります。 図書館で見つけたガイドブックの本で概略を知ることができました。

『文豪ナビ 松本清張 (新潮文庫)』、新潮社 (2022/8/1)

分野別にまとめられ、その中の古代史の部分で五冊紹介されています。(選・解説:原田実)

  1. 『陸行水行』―別冊黒い画集 (2) (文春文庫)
  2. 『古代史疑』(中公文庫)
  3. 『天皇と豪族 清張通史(4)』 (講談社文庫)
  4. 『私説古風土記』(松本清張全集〈55〉邪馬台国.私説古風土記、文藝春秋 (1984/4/25)か?)
  5. 『ペルセポリスから飛鳥へ』日本放送出版協会 (1988/5/1)

注目すべき5の解説コピーです。

戒厳令下のイランを歩いた古代史紀行 『ペルセポリスから飛鳥へ』(日本放送出版協会)

清張の推理小説『火の路』(単行本一九七五年)には、現奈良県明日香村飛鳥の古代石造物はイランから伝来したゾロアスター教に基づいて造営されたと唱える人物が登場する。NHKテレビは『清張古代史をゆく』という番組でこの説をとりあげた。
一九七九(昭和五十四)年に出た本書は、その番組の取材のためのイラン紀行を記した「旅の章」とゾロアスター教古代日本伝来説の検証を記した「考察の章」からなる書き下ろしである。
「旅の章」について、清張によるイラン現地のさまざまな遺跡・史跡に関する記述に時は、その周到な調査ぶりに驚くしかない。古代イランの地下式横穴墓と南九州における地下式横穴古墳との比較、紀元前のアケメネス朝ペルシアのキュロス大王の墳墓と高句麗の広開土王(三七四~四一二)の墳墓(将軍塚)のピラミッド状構造の比較など、イラン現地で確認した東アジアの古代文化の類似に関する観察も数多く記されている。 「それらの記述からは、ゾロアスター教古代日本伝来説は、清張による古代文明東西 交通の構想の一部にすぎないことがうかがえる。
「考察の章」について、清張は『日本書紀』に、ゾロアスター教を国教としていたササン朝ペルシアからの渡来人に関すると思われる記述があることに注目する。飛鳥の古代石造物は彼らがもたらした技術と思想によって作られたというわけだが、その造営施工者と、飛鳥のゾロアスター教系文化の終焉のいきさつについて、本書では『火の路』の登場人物の説とは異なる回答を用意しており、読み比べても面白い。
なお、本書「旅の章」は一九七八(昭和五十三)年九月の記録だが、当時のイランはイスラム革命(一九七九年1月)前夜の世情不安期で、本書でも戒厳令下での取材の困難さが随所で語られている。そうしたルポルタージュ的要素も本書の魅力と言えよう。

はらだ・みのる
一九六一(昭和三十六)年、広島県生れ。古代史研究家。著書に『江戸しぐさの正体―教育をむしばむ偽りの伝統』『オカルト化する日本の教育』『偽書が揺るがせた日本史』などがある。

以前に『火の路』を読み始めて挫折しましたが、『ペルセポリスから飛鳥へ』の方を読むべきだったかと思いました。

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