『日本語の発音はどう変わってきたか」「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅 (中公新書 2740) ISBN-13 978-4121027405
上記の本に日本語の歴史のことが書かれています。重層性とは、たとえば、「行」という文字は、「ゆき」、「おこなう」、「こう」、「ぎょう」、「あん」など多数の読みがあるということです。この違いは漢字の伝わった時代が異なることによります。
日本漢字の音の主たる層には三つある。最も古い層は、古代の倭国がはじめて体系的に中国文化を知った三世紀から六世紀までの中国江南地域に起こった六朝文明の漢字音である。倭人(日本人)は、はじめてこの地の漢字を系統的に勉強した。この古層の漢字の音読みを呉音という。六朝時代は、中国史上例外的に仏教が盛んであったので、呉音には仏教用語が多い。ーーー例は省略ーーー
ついで系統的に日本人が中国文化を学んだのが六世紀から八世紀の隋唐帝国の律令制度の導入を通じてである。隋唐時代の文化の中心は、洛陽、長安のような黄河流域であり、この地に留学した日本人が持ち帰ったのが新層の漢音である。隋唐音をなぜ、「漢音」と呼ぶのか、詳しくは分からないが、奈良時代末期にはすでに「漢音」と読んでいた。ーー以下省略ーーー、
漢字音の三番目の層が十三世紀、鎌倉時代の日宋交流がもたらした唐音(とういん)である。唐音は、宋代の文物、特に禅宗とともに入った語が多い。
最初の古層の時代についての様子はよくわかってません。多分、ダイレクトに中国江南地域から伝わっているはずです。律令体制の採用で、日本の社会は大きく変化したと思います。残念ながら『日本書紀』から、この変化をとらえられそうにありません。